止める、蹴る、運ぶ(2023.12.3)

文字数 545文字

 小野伸二の引退試合はコンサドーレ札幌vs浦和レッズ。引退するクラブとデビューしたクラブ。怪我がなければ……という選手は多数いるけれど、小野伸二はその中でも別格だろう。日本サッカー界で歴代最高の「天才」だと思う。

 サッカーは「止める、蹴る、運ぶ」が基本だが、トップレベルの試合で相手のプレッシャーを受けながら「止める、蹴る、運ぶ」を確実にできる選手はほとんどいない。ほんのズレやミスが起きるのが当然で、その時にフィジカルやスピードがストロングポイントになる。だが、どんな場面でも「止める、蹴る、運ぶ」ができる選手は、圧倒的なフィジカルやスピードがなくても輝くことができるのだ。例えばメッシとか。あるいはイニエスタも。そして小野伸二もその一人だ。「止める」能力が傑出しているから、視野も広がり、「蹴る」「運ぶ」も自由自在、そして左右どちらでも蹴れるのだから、ピッチで一人だけ違う景色を観ていたに違いない。だから、あんなに楽しそうにプレーしていたのだろう。

 まだまだやれる、という状態ではなく、相当悪いのだろうな、と分かるギリギリの状態までプレーして引退を決めたのは「天才」が本当にサッカーが好きだからだろう。楽しく、観客の想像を超えたプレーをたくさん見せてくれてありがとう。お疲れさまでした。
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