『常設展示室』原田マハ(新潮文庫)(2023.5.9)

文字数 210文字

 いやぁ、沁みた。
 六編の短編集で、五編までは原田マハにしては少し物足りないと思いながら読んでいた。しかし、最終の「道 La Strada」の途中ですっかりとやられた。電車の中で、泣いてしまった。
 原田マハは、読者の心の揺れを分かってこのような短編集を編んだのだろう。見事としか言いようがない。鈴木明人の作品番号二十九番を僕も観てみたい。こんな気持ちになったのは宮本輝の『星々の悲しみ』を読んで以来だ。
 いやぁ、沁みた。
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