野見山暁治さん死去(2023.6.26)

文字数 580文字

 画家の野見山暁治さんが22日に亡くなられたそうだ。102歳。

 僕が野見山さんの存在を知ったのは、窪島誠一郎さんの「無言館」を通じて。野見山さんの思いと窪島さんの行動力が長野県上田市に「無言館」を設立させたのだ。僕は今までに三回、信濃デッサン館と無言館を訪れている。信濃デッサン館は無言館を継続させるために窪島さんが閉館を決意されたのだが、いつまでも長居したくなる夭逝画家を収集したとても素敵な小さな美術館だった。そして、信濃デッサン館から無言館へ坂道を歩いて行くとだんだんと辺りが澄んで、扉を開けた瞬間の緊張感と静寂に包まれた空気感は今でもはっきりと思い出すことができるくらい、とても特別な体験であった。
 昨夏の24時間テレビドラマで野見山さんと窪島さんの「無言館」が描かれていたから、観た方もいるのかもしれないが、寺尾聰と浅野忠信という配役も良くて、分かっている内容であっても心を強く揺すぶられた。

 野見山さんの作品を観る機会も増え、その自由な感性に驚かされた。色彩が印象的な画家であった。戦没画学生と同年代の野見山さんは、きっと長生きするほどに「もっと自由に」描きたいと思ったのではないだろうか。102歳まで生きて、描いて、窪島さんと探し歩いた戦没画学生たちと再会されるのだろう。

 野見山さんの思いが「無言館」の始まりです。本当にありがとうございました。
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