ひらがな、あれこれ(2022.9.11)

文字数 661文字

 小学生の頃、「め」と「ぬ」を書き分けることができず、いつも赤字で直された苦い思い出がある。どうしていいか分からなくなり、「め」とも「ぬ」とも見える微妙なひらがなを生み出したのだが、先生は「こんなひらがなはありません」と叱った後に「でも、おもしろいわね」と笑ってくれた。今気づいたのだが、「わ」と「ね」も似ているのに、赤字で直されたことはない。「め」と「ぬ」だけ。どういう脳みそをしていたのだろうか。我ながら、不思議だ。
 
 にもかかわらず、僕はひらがなが好きで、昔からひらがなの名前を持つ女の子は、それだけで加点してしまう。ひらがなの子は、心穏やかな優しい子に違いない。もちろん、そんなことはなくて、完全なる思い込みだ。赤字先生の名前もひらがなだった。気にして欲しくて、わざと間違えたと言えば淡い思い出になるけれど、残念ながら、単純に書き分けられなかっただけである。

 字が下手な人は分かると思うが、ひらがなを書くと下手さ加減がより目立つ。書道を習っていた頃、子供ながらに思ったのは、漢字よりもひらがなが難しいということだ。二年遅れで始めた妹に追い抜かれて挫折したので、書道について語る資格はないが、それだけは真実だと今でも思っている。ちなみに、妹の名前は漢字だ。そして、赤字先生は「ちなみ」だった。

 ひらがなが好きなので、ほんとうはビジネス文書でもひらがなを多用したいのだけれど、漢字を知らない馬鹿だと思われるのが嫌で、平仮名にしたい場合も漢字を使う。

 ひらがなを見ると心穏やかに優しい気持ちになれるのは、僕だけだろうか?
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