東京ヴェルディ、16年ぶりのJ1昇格(2023.12.2)

文字数 1,375文字

 東京ヴェルディvs清水エスパルス。オリジナル10(Jリーグ発足時のJ1チーム)の2チームによるJ1昇格プレーオフ決勝戦をテレビ観戦した。来季、J1に昇格するか、もう一年J2で戦うか、は天国と地獄ほどの違いがある訳で、特にエスパルスはリーグ戦順位がヴェルディよりも下なので勝たなければならないから、前半から猛攻を仕掛け、ヴェルディは必死に耐えるという見応えある入りとなった。決定的場面で決めきれず天を仰ぐ乾をはじめ、個の実績ではエスパルスが優っていることは明らかだった。一方でヴェルディは23歳の森田主将を中心とした若いチームを城福監督が鍛え上げた守備力の高さがウリで、もちろんヴェルディのアカデミー出身の選手たちのテクニックも高い訳だが、攻撃力では劣るという印象。しかし、リーグ戦で上位のヴェルディは引き分けでも昇格が決まるというアドバンテージを持っている。対照的なチームカラーと昇格条件が両チームの心理状況に影響させ、刻々と戦術が変わるヒリヒリとした緊張感の高い試合は前半戦を0-0で折り返す。試合が動いたのは後半17分。自陣のペナルティエリア内でヴェルディの森田主将がハンドの反則を取られて、エスパルスのチアゴ・サンタナがPKを決めてリードを奪う。この時点で、エスパルスは大きく昇格に近づき、守備的選手を投入して5バックにした。体格的にはエスパルスが優っており、ヴェルディの攻撃をことごとくはねのける。ヴェルディは何とか崩そうとするが、守備に徹したエスパルスも緊張を切らさない。そして、アディショナルタイムは8分と表示された。思ったよりも長いなぁ、と思ったのは僕だけでなく、エスパルスの選手たちも同じだったはず。ヴェルディはとにかく攻める。エスパルスはとにかく守る。ヴェルディは1点奪えば昇格。エスパルスは1点奪われなければ昇格。最後は技術の問題ではなく、気持ちの問題だと改めて思った。そして、アディショナルタイム6分にヴェルディの染野がペナルティエリア内で仕掛けたところをエスパルスの高橋が倒してPKを獲得し、自身でPKを決めて劇的な展開で16年ぶりのJ1昇格を決めた。前半の猛攻でエスパルスがゴールを決められなかったこと、リーグ最終節で2位だったエスパルスが引き分けて自動昇格を逃し4位となり、勝ったヴェルディが3位になったことにより引き分けでも昇格できるアドバンテージを得たこと、そして1トップ不在のチーム状況で鹿島アントラーズから染野をレンタルできたこと。考え始めたらキリがないほど、様々な要素が重なっての劇的な同点PKだった。森田主将はどんな時も表情を変えずにプレーするのだが、試合が終わってから誰より涙が溢れ、インタビュー中も止まらなかった。23歳で主将というプレッシャーに加え、自身のハンドによりエスパルスにPKを与えてしまった責任感もあっての号泣だったと思うが、僕も思わずもらい泣きしてしまった。選手としても素晴らしいが、主将としても素晴らしい。それにしても16年ぶりかぁ。ほんと長かった。来季はしっかりと補強をしてJ1で戦って欲しい。若い力はますます伸びるだろうが、このままでは残留は厳しいと思う。まぁ、先の話はさておき、とにかくおめでとうございます。読売クラブの頃から緑のユニフォームに憧れていた僕としては本当に嬉しいです。
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