『自分とか、ないから。』しんめてP(サンクチュアリ出版)(2024.8.11)

文字数 529文字

 妻が読んでなかなか面白いと言うので読んでみた。

 東大卒・こじらせニートによる東洋哲学をめぐる超訳本であるが、本人の失敗談(「死んだ」と表現しているが)と東洋哲学とのふれあい、あるいは救済が描かれていて、かなりぶっ飛んでいるけれど、そこは地頭が良いからもちろん論理的であり、決して破綻していないから、読んでいて確かに面白い。人生に躓き、落ち込んでいる時に、いざ東洋哲学を真剣に読み込もうとしても、心が疲れていたら読めないと思う。そんな時に、この本を読むと気が楽になるかもしれない。

 しんめいPにとっては東洋哲学だった訳だが、パリ五輪のブレーキンを見て一気に解決するなんてこともあるだろうと思う。悩みや挫折がそれぞれ違うように、救済もそれぞれ違うはずだから。ただ、その素地を作る手立てとして『自分とか、ないから。』は有効だと思う。

 知っているようで知らないブッダ、龍樹、老子、荘子、達磨、親鸞、空海を知り直す良い機会になるだろう。無我、空、道、禅、他力、密教について知るきっかけになる本作を読んで思うことは、悩むと難しく難しく考えてしまうが、やはりシンプルが一番だということ。キーワードは「自分」である。だから『自分とか、ないから。』というタイトルが効くのだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み