倉俣史朗のデザイン~記憶のなかの小宇宙(2024.7.7)

文字数 591文字

 家具やインテリアにはあまり興味がないのだが、日曜美術館で目にしたがあまりにも印象深くて、足を運んだ。

 たぶん、僕が知らないだけで、倉俣史朗はとても有名なのだろう。日本人だけでなく外国人の来場者も多い。造花のパラを内に配置した透明な椅子は、実物を見ると余計にインパクトがある。光の当てると、バラが床に浮かび上がり、実に美しい。家にあったら、朝から晩までずっと眺めていられるだろう。

 その他にも、倉俣さんの独創性が感じられる家具やインテリアが空間を活かしながら展示されており、楽しい美術展だと思った。また、感性がとても高い人で、夢のスケッチや文章がとても良くて、ひとつひとつ立ち止まりながら、じっくりと見て読んだ。

 本人は「映像」(夢を含む)から作品が生まれると言っているけれど、言葉化する能力が非常にあると思う。僕は倉俣さんの文章がとても好きだ。

 映像で見る商業デザイン(ショップやオフィスなど)は、どれも個性的なのだが、いくら見ても飽きないものばかりで、斬新さを狙っている訳ではなく、基本はしっかりと持った上でのデザインなのだと分かる。斬新さだけだと一回行けばいいや、あるいは次第に古く感じられると思うけれど、決して色褪せることのないデザインであり、主役は店であることを考えての挑戦なのだ。デザインとアートを上手に融合した倉俣さんは、とてもバランスの取れた人だったのだろうと思う。
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