富岡鉄斎展(2024.5.12)

文字数 582文字

 最後の文人画家と言われる富岡鉄斎の没後100年に合わせての展覧会である。
 京都国立近代美術館にて5月26日まで。
 
 NHK「日曜美術館」でも特集されたので、混んでいるのだろうと思って出掛けたのだが、意外にも空いており、ゆっくりじっくりと観て回ることができた。

 数え年89歳で亡くなるまで書き続けた鉄斎の魅力は、やはり個性の塊と呼ぶべき作風だろうか。上手い、美しいというよりも、とにかく迫力に圧倒される。しかも、年齢を重ねれば重ねるほど、老いる、枯れる、達観するという流れと逆行するように、個性がより際立つのだから超人である。どんどん自由になって、「我が道を行く」という感じの絵を観ていると、こちらまで元気になってくる。

 《妙義山図・瀞八丁図》は71歳、《青緑山水図》は77歳。

 更に、88歳、89歳の絵を観ると、あまりにも元気すぎて、つい笑ってしまう。この人は死なないんじゃないかと思うくらいだ。

 仙人のような風貌をした富岡鉄斎の人生は、きっと楽しかったに違いない。

 鉄斎の作品に触れると、50代半ばなんてまだまだという気持ちになる。会社ではベテランの域ではあるが、詩作については駆け出しである。年を重ねるにつれて生命力が増すような詩を書き続けたいと思う。

 富岡鉄斎は西洋画に心奪われることなく、文人画家として生き抜いた人である。ほんと、あっぱれな人生だと思う。
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