映画「ハロルド・フライ まさかの旅立ち」(2024.6.11)

文字数 581文字

 う~んっ、感想が難しい。

 良い映画だとは思うのだが、ストーリーの「根っこ」がぼやけている気がして、果たして主人公のハロルド・フライも妻のモーリーンも本当に救われたのだろうか、和解できたのだろうか、という疑問が、時間が経つほどに湧いてくる。

 元同僚のクイーニーからハロルドに宛てた手紙が届いたところから、物語は始まる。ホスピスにいる彼女に返信を書き、ポストへ投函するだけのはずが、どうしても本人に会って伝えたい気持ちが溢れ、強い意志を持って800km歩き始めるのだ。彼と彼女の関係性が気になる。

 旅を続ける中で、様々な人と出会い、助けたり、助けられたりしながら、巡礼者として報じられて有名になったハロルドと家で待ち続けるモーリーンの心のすれ違いが、彼らが抱える過去の問題によるものであることが分かり始めると、心が一気に重くなる。クイーニーも過去の問題と密接に関係しているのだ。

 一人息子のディビッド。

 ハロルドとモーリーンが、ずっと抱えていた過去の問題こそが、本映画の「根っこ」である。いや、過去の問題ではなく、継続していた問題だろう。ハロルドが歩き続ける中で、徐々に明らかになる「根っこ」は実に悲しい。

 海を眺めながらベンチに座るハロルドとモーリーン。二人の余生が、安らかであることを祈ってやまない。

 良い映画ではあるが、つらい思いが残ってしまう映画でもある。
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