お盆(2024.7.14)

文字数 546文字

 お盆で帰宅している。東京は一カ月早いのだ。
 父の姉三人が今年も来てくれた。みなさん、八十歳後半だが、元気一杯でしゃべりまくるので、こちらは圧倒されてただ黙って話を聞き続ける。ためになる話もあれば、毎年お決まりの昔話もあり、少し修業的要素もある。それにしても良くしゃべる。足腰は多少の衰えは感じるが、声の張りは変わらない。声の大きな人、良くしゃべる人は長生きなのだろう、きっと。
 年を取ると、三人の個性がより明確となり、意固地になるところもあって、僕と妻の前で姉妹喧嘩が始まる。お互いに耳が遠いので、口喧嘩していても噛み合っていない。本人たちはいたって真剣に罵り合っているのだが、少し笑ってしまう。
 言いたいことを言う。そして、耳が遠い。
 ストレスが溜まらず、喧嘩がエスカレートしないように、上手くできていると感心する。

 父と母が生きていれば、八十歳を過ぎているのかと思うと何だか不思議だ。既に二人の亡くなった年齢を超えてしまった僕は、ふと泣きたくなる。

 姉妹喧嘩をして帰っていく伯母たちは、必ず亡くなった弟である父と義妹である母の「優しさ」を語ってくれる。その時だけは、みんな仲良く一致する。
 毎年、ほぼ同じ話であるが、父と母のことをずっと忘れずにいてくれることは、本当にありがたいと思う。
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