『ねじ式』つげ義春(小学館文庫)(2024.7.20)

文字数 515文字

 何だか分からないけれど、凄いと思う。言い方は悪いが、ぶっ飛んでいる。

 先日「日曜美術館」で辻惟雄さんが「奇想の系譜」について語られる中で、つげ義春にも触れ、『ねじ式』は奇想の系譜に連なるというコメントをされていたが、まさにその通りだと思う。

 どうしても「理解しよう」と試みてしまうのだが、世の中には「理解できない」ものもあることを教えてくれる。理解を超越してしまうと、何だか分からないけれど凄い、という感想になるのだ。つげ義春は画がとても精密で上手い。しかし一方でストーリー展開が、あまりにも独特で、飛躍することもあれば、省略されることもあるので、前に戻って読み直すこともある。戻ったところで、分かるはずもないのだが……。やっぱり、まだ「理解しよう」としてしまうのだ。

 つげ義春を読んでいると、なぜか僕は癒される。肩の力が抜けるからかもしれない。本来は適当な性格なのだが、仕事ではとにかく真面目に振る舞っている。なんとか普通の人、常識人であろうとかなり無理をしている。つげ義春の登場人物たちに親しみを感じるのは、本来の適当な性格に近しいものを感じるからだと思う。

 「ねじ式」の他では「チーコ」「山椒魚」「ある無名作家」が好きだ。
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