第240話 あなたのそんざいってしごとかな

文字数 1,310文字

 兼業っていうものは会社員と小説家の二足のわらじのように捉えられるのが一般的だけれども いや小説家というのが一般的という意味じゃなくて本業が会社員と捉えられるのが一般的だというか
 あまりにも娑婆を平面的にとらえていると思う

 以前読んだ小説の中に 『サラリーマンで詩人』という表現が出てきてとても喜しかった記憶がある
 
 けれどもそれにもうひとつの要素を追加する必要が出来てくると思うんだけど

 介護

 これはいわゆる労働契約をして介護施設で仕事をするという意味ではなく 在宅で祖父母両親の介護を無償で行うというケースをむしろ想定している
 なぜ といわれれば逆にこう問いかけたい

 主婦業・育児が極めて高度かつ専門性が求められる仕事である以上介護もそれに準じるものであろうと

 主婦業には高度な専門知識が必要である
 家事を主婦業のひとつの仕事と見る場合にその熟練を子供のころから行ってきてようやくできていることからも分かるであろう

 料理という仕事においては 食材の調理方法だけでなく限られた予算内で家族の健康とココロの満足とを両立させなくてはならない
 付け焼刃でできる仕事ではないのである
 むしろ常住坐臥が仕事という厳しい行にも似たものであろう

 ならば会社員として働いている女子男子が家事を行い主婦業・主夫業をもおこなうのはそっちの方がすごいのかと言われればどちらがすごいとはいちがいに論じきれないと答えるしかない

 主婦業には’これでよい’ということがないからだ

 日本は五穀野菜の類を中心とした食事が基本であり しかもバラエティに富んだ調理方法や場合によっては漬物等を各家庭において作ることも想定されているのが日本の主婦・主夫業の根本精神だろうと思われる

 もっといえば畑を作ることすら主婦業の中に含まれる場合もある

 かつての主婦において畑を耕し獲れた作物をそのまま調理するということはごく普通のことだった

 だから飢餓という概念は本来神様の国である日本にはないはずなのだ

 パラレルワークという単語が副業とそれを示すWワークという働き方ではなくてどちらも本業であるというのはとても説得力があるよね

 けれどももっとすごいことを言わなくてはならない


 うつ病

 病気も実は職業である

 バカな とお思いになるかもしれなけれどもワナビであるわたしはうつ病というものがなかったら風景を写真に撮ることもなかったろうし小説の中にその感覚をそのまま投げ入れようとも思わなかったろうしそもそもが

 ほんとにそもそもが

 うつ病を経ないと ううん うつ病のままで真っ最中でないと書けない小説がある

 そういううつ病でないと書けない小説をうつ病にならずに書かずに済むのであればそれにこしたことはないとおっしゃる方々がおられるのも十分理解した上でそれでもやっぱり病気は

 うつ病は 職業である

 ちなみにうつ病が職業であるという前提はワナビが職業であるという前提に立っている

 あ それからね

 このモノローグはわたしの音声でわたしの脳内で再生されていてまぎれもなくわたし ミコ のものではあるけれども

 一等最初に立ち戻るならばね

 わたしはシャムという女の過去世を職業にしている
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