第280話 仕事ってつらいけど苦を楽しみたいよね
文字数 1,383文字
シャムの意識の中にとても切ないものが混じってくる
仕事のことだよ
シャムが直近の過去世でやっていたのは仕事といっても世の普通のひとたちがやる仕事とは違って過去世を知る者ならではの人助けの仕事
上司や同僚にも恵まれて辛いながらも楽しい職場だったから直近の過去世の仕事は結果的にはうつ病になってはしまったけれどもそれでもよき仕事 嘉事だったろうと思う
そうじゃなくてそれ以前の仕事に対するシャムの感情
「ゲンム ゲンムは将来どんな職業に就きたい?」
『できれば音楽に関わる仕事がしたい』
「ドラマー ってこと?」
『今のバンドが世に出ることがあれば一番いいけど仮にそうじゃなくても ライブハウスのスタッフとかコンサートホールの音響スタッフとかでも ミコは? まだ5歳だから考えたことないか』
「ううん シャムの仕事に対する感情が流れ込んで来た時にね 人生を何回繰り返しても同じなんだな って」
『言ってみて』
「天職についての考え方なんだ 概ねさっきゲンムが言ったような内容なんだけど ゲンムは天職ってなんだと思う?」
『うーん 自分が自然でいるだけで何か人の役に立つ仕事 のことかな」
「わたしもそう思う 思うしシャムもそんな感覚 自分の好きなことってだけじゃなくて無理なく続けられてしかも自然体で自分の得意なことが活かされてそれでいて人助けになる仕事」
『欲張りだな』
「でもそうじゃないと 仕事に使う時間が多分人生の中で一番多いでしょ? 多分みんな そんな長い時間に天職でない無理な仕事をしていたら…とても切ない その切ない気持ちがシャムの感情」
わたしとゲンムは夕暮れ時にゲンムの家がある街の最寄り駅近くを歩いている
少し早めに帰路につくひと
まだまだこれから職場に戻って残務をこなすひと
うつむいているひと
スマホの画面を観ながら焦っているひと
泣きたくなる
仕事は嘉事
わかっていても無理な仕事でずっと人生を過ごすのはとても苦しいこと
ほんとはその苦しみをも楽しみにすることができたならば
『単に好きなこと っていうわけじゃないのはわたしも思うよ だってもしもその好きなことがいつか嫌いになったらもうどうしようもないもんな』
「そうだよね…ねえゲンム 人の役に立ちたい?」
『できることならば』
「でも人の役に立とうと思ったらどこかで苦しいことも出てくるよね だけれどもその仕事が意義あることで自分も自然でいられてその上でその仕事を成し遂げるための創意工夫を一生懸命やる苦しみならその苦しみ自体を楽しんでできるかもね」
シャムはもしかしたら答えを分かってたんじゃないだろうか
手は手の役
足は足の役
比喩じゃないよ
意訳翻訳をするとそれこそが天から与えられた職 天職なのかもしれない
『ミコはところでどんな仕事がしたいんだい?』
「シャムみたいな仕事」
『もしかして国を救うためにツバメに嚥下されたああいうことを成し遂げたいの?』
「あれは仕事じゃないよ シャムの生涯そのものを賭けた御用 そうじゃなくて 義務のようでいて自然にできて苦しみも楽しみとできて人の役に立つ仕事」
『やっぱり欲張りだな』
でも欲張りでもいいからそういう善き仕事を
『ミコ 自分で考えるんじゃなくて‘与えてください’って祈ることじゃないの?』
「はっ」
やっぱりゲンムに話してよかった
わたしは祈るよ
しごと しごと って
仕事のことだよ
シャムが直近の過去世でやっていたのは仕事といっても世の普通のひとたちがやる仕事とは違って過去世を知る者ならではの人助けの仕事
上司や同僚にも恵まれて辛いながらも楽しい職場だったから直近の過去世の仕事は結果的にはうつ病になってはしまったけれどもそれでもよき仕事 嘉事だったろうと思う
そうじゃなくてそれ以前の仕事に対するシャムの感情
「ゲンム ゲンムは将来どんな職業に就きたい?」
『できれば音楽に関わる仕事がしたい』
「ドラマー ってこと?」
『今のバンドが世に出ることがあれば一番いいけど仮にそうじゃなくても ライブハウスのスタッフとかコンサートホールの音響スタッフとかでも ミコは? まだ5歳だから考えたことないか』
「ううん シャムの仕事に対する感情が流れ込んで来た時にね 人生を何回繰り返しても同じなんだな って」
『言ってみて』
「天職についての考え方なんだ 概ねさっきゲンムが言ったような内容なんだけど ゲンムは天職ってなんだと思う?」
『うーん 自分が自然でいるだけで何か人の役に立つ仕事 のことかな」
「わたしもそう思う 思うしシャムもそんな感覚 自分の好きなことってだけじゃなくて無理なく続けられてしかも自然体で自分の得意なことが活かされてそれでいて人助けになる仕事」
『欲張りだな』
「でもそうじゃないと 仕事に使う時間が多分人生の中で一番多いでしょ? 多分みんな そんな長い時間に天職でない無理な仕事をしていたら…とても切ない その切ない気持ちがシャムの感情」
わたしとゲンムは夕暮れ時にゲンムの家がある街の最寄り駅近くを歩いている
少し早めに帰路につくひと
まだまだこれから職場に戻って残務をこなすひと
うつむいているひと
スマホの画面を観ながら焦っているひと
泣きたくなる
仕事は嘉事
わかっていても無理な仕事でずっと人生を過ごすのはとても苦しいこと
ほんとはその苦しみをも楽しみにすることができたならば
『単に好きなこと っていうわけじゃないのはわたしも思うよ だってもしもその好きなことがいつか嫌いになったらもうどうしようもないもんな』
「そうだよね…ねえゲンム 人の役に立ちたい?」
『できることならば』
「でも人の役に立とうと思ったらどこかで苦しいことも出てくるよね だけれどもその仕事が意義あることで自分も自然でいられてその上でその仕事を成し遂げるための創意工夫を一生懸命やる苦しみならその苦しみ自体を楽しんでできるかもね」
シャムはもしかしたら答えを分かってたんじゃないだろうか
手は手の役
足は足の役
比喩じゃないよ
意訳翻訳をするとそれこそが天から与えられた職 天職なのかもしれない
『ミコはところでどんな仕事がしたいんだい?』
「シャムみたいな仕事」
『もしかして国を救うためにツバメに嚥下されたああいうことを成し遂げたいの?』
「あれは仕事じゃないよ シャムの生涯そのものを賭けた御用 そうじゃなくて 義務のようでいて自然にできて苦しみも楽しみとできて人の役に立つ仕事」
『やっぱり欲張りだな』
でも欲張りでもいいからそういう善き仕事を
『ミコ 自分で考えるんじゃなくて‘与えてください’って祈ることじゃないの?』
「はっ」
やっぱりゲンムに話してよかった
わたしは祈るよ
しごと しごと って