第208話 小説じゃない

文字数 799文字

 第八十六番札所 補陀落山 志度寺  


シャムが書いていたのは小説であって小説じゃない

 経典?

 自己啓発文?

 エッセイ?

 あるいは小説だったとしても小説に抗う小説

 小説でないように戦う小説



 形式だけで命名するならば『異常日常』

 更に表現を深めると『異常経歴』

 
 その内容は誰の文章とも比べられない

 読んで頂けるかのその前にシャッターを持って無造作に引きずって閉じる。

 それでいいと思ってる

 だってもし万が一 表面だけ分かったフリをするひとたちが不公平だと言って迫害してきたらどうするの?

 わたしたちが冗談で済ませられると思っていることのかなりの部分が冗談ではない

 ホンキだ

 ホンキなんだよ

 シャムはホンキだった。石にでも岩にでも鉱山にでも齧り付いてホンキを貫きそう

 けれどもそれでもまだ足りない

 富士を求めて行った山がね

 ゴゴゴゴゴ とか ガタガガタガタ って振動するわけじゃないと思う

 震えてるのはわたしたちの方

 閻魔さまにほんとうのことをすべて明かされてどう考えたって地獄ゆきである我が身を曝け出すことがこわくてなさけなくて寂しくて寒くて

 そうして震えている

 地震も大地が揺れるんじゃない

 わたしたちが勝手にガタガタ震えているんだ

 その震えが共鳴して更に振動を増幅させるとわたしたちは居てもたってもいられなくなる

 だから あやまりなよ

 ココロから懺悔しなよ

 懺悔したら改心しなよ

 その場を自分からは何かを捧げることをせずに、主には自らの老化現象を不安に思って、介護施設はどんどん診察する病気を事前に自分達地震で当たりをつける、いわば『予備審査』っていう遊びだった。

 でも、ホンキに変わった

 けれども言わねばならない

 世に有名な童話書きであったその青年は如何にして自らの実家の宗派ではなく別の宗派を求めるに至ったのか、そうしてそれでよいのか、ということを少し話し合う時間もいただけたらと思いのこと
 
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