第232話 日々にあらたにまたあらたにあらたあらたに

文字数 869文字

 わたしたちは高野山で別れた

 モヤはわたしとゲンムをギャランでわたしたちの街まで送るって言ってくれたけど個人事業主であり一日の売上がないだけでも営業に大きな支障をきたすであろうことを理解していたのでモヤとは再会を誓いつつ彼女のギャランを見送った

 ゲンムはもともとシャムのうつ病を彼女の実家に住まわせてあげての付き添い療養中だったんだよね そうしてゲンムはその治療のために高校のボランティア休暇を取得していた

「『ミコを代わりに置いてやるよ』えっ!いいの!?『仕方ないだろう 園児を放り出してひとりで生きていけっていうわけにもいかんし』」

 まあわたしにも家族はいるんだけどシャムの記憶がわたしにねじ込まれてきた時からおとうさんもおかあさんもさすがにもう怖くてやってらんないっていう感じで突き放しにかかったんだよね でもそのおかげでカンテンさんとゲンムとチョウノちゃんに遭えたから
 あっ ゲンムだけ呼び捨てなのはシャムがそうだったからであってわたしが特に意識してそうしてるわけじゃないからね

「ゲンムのおとうさんおかあさんって幼稚園児平気?『なんだその意味不明な問いかけは』ほらあ だってさ 小さいものをみてると背中がチクチクして不快だっていう人もいるじゃない?『ひとの親を珍奇者みたいに言うなよ 普通に小さな子はかわいがるよ』そっか ならよかった おじゃまするね『その代わり相部屋だからな』えっ!?『なんでそこでそんなに驚くんだよ 仕方ないだろうが狭い家なんだから あ それともアパートに一緒に戻るか?』ううん それはもうちょっとあとでね『なんでだよ』その…ゲンムのおかあさんに甘えたいから『子供かよ』子供だよ」

 そうして長旅終えて辿り着いた

「ただいまー!『ただいま』」
「あらあらあら!ミコちゃん!待ってたわよ!」
「『娘より先にミコか』まあまあゲンム おかあさんはあとでこっそりゲンムにほおずりすりすりしてくれるからひがまないひがまない『う うるさいなー』」
「あらゲンム いくらでもしてあげるわよ?なんならチューも」

 ああ

 いいなあ こういうの
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み