第249話 グボとゲボ

文字数 1,509文字

 あだ名を禁止することが批判を浴びてたことがあったけどそれはあだ名でそんげんを傷つけられたことのない人たちだね

「おい アンジル」

 カタカナのアがマと極めて似ているからついたあだ名らしい

「おい アンジル なに無視してんだよ」

 そういって美麗で高身長の小学生高学年の女はそのアンジルって呼ばれてる女の子の後頭部をはたいた

 付き添いの女の小学生たち5人

 ゲンムが居たら無言で全員蹴り倒しただろうな

 ああ無言ていうのはあの暴力的な手話すら発せずに ってこと

「やめなよ」

 わたしは園児のぶんざいで小学生のおんなたちに言った

 予感がしてたから

「あっちいけ」

 そう言ってわたしを追い払う代わりにアンジルって呼ばれてる子をまたはたいた

「うわー 手がよごれた ねえアンタ そのシャツで拭かせてよ」

 わたしのTシャツで両掌をゴシゴシした

「きたない」
「あ? ああ このアンジルを触った手だから汚いってか? 幼稚園のくせに結構言うな」
「ちがうよ あなたの手がもともと血が出るほど洗ってもきたないからさわらないで」

 ああ この高身長のおんなもゲンムとおんなじだね

 無言でわたしの股間を トゥーキックするモーションに入ったよ

「それ」

 声がしてね

 ほんとうにいきなり目の前に居たみたいな感じで犬歯っていうよりは 唇をきゅっと噛み締めたその下の歯が牙みたいにして唇から顔を見せてるひと?がおられたよ

 青いお肌

「なんだおまえは」
「ヌボですよ」

 ?

 全員疑問符を頭頂部のあたりに浮遊させてるけどわたしにはすぐわかったよ

 ヌボの意味が

「あなたがさっき頭の後ろを叩いていたその女の子をあなたの呼んでいたような渾名でまだ呼ばわるならわたしのことをヌボと呼びなさい」
「なんでヌボなんだよ」
『奴僕(ヌボク)だから略してヌボ」

 やっぱり!

 わたしは喜しくなってね
 こう付け足した

「ヌボさんが奴僕だからヌボならわたしはゲボだよ!」

 わたしが元気よく言うとね ヌボさんはにっこりわらってこう訊いてくれたよ

「ゲボの意味は?」
「下僕!」
「狂ってんの? あんたたち」
「ねえ 背のたかいひと もしヌボさんのほんとうのことを知らないんだったら早く謝ったほうがいいよ」
「なんでわたしが」

 もうおそかったよ

「ああっ!」
「すまないね こんなことしたくはないけど早く改心した方があなたの為だからね」

 高身長のおんなはもう両腕を縄で絡め取られてたよ

「ごめんねえ ほんとうは刃物もつかいたくないんだがねえ」

 ヌボさんは左手に縄を束ねて 右手は握った剣をほんとうに軽く振り下ろすところだった

「や やめて! いうこと聴きますから!」
「はっは 斬られて反省してからね」

 すいっ

 ヌボさんはね 剣で背のたかいおんなを斬ってね

 そうしてわたしにこう訊いてこられたよ

「ゲボさん どうかわたしのためにしんごんをとなえてくれませんか?」
「はい よろこんで」

 のうまくさんまんだばさらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん

「改心なさいますか?」
「は、はいぃ!しますしますします!」
「すみませんねえ 実行するまで信用ならぬと神々さまはおっしゃってます ゲボさん もう一度一緒に」

 のうまくさんまんだばさらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん

「お 願いです ぅ かんにんしてください」
「なりませぬ まず行いが先です」
「なにとぞ!なにとぞ!」

 はじめてヌボさんの声の地声が振り切れる直前のアンプの状態だったよ

「だまらっしゃぁい!!」

 びく、となる高身長おんな

「やさしくしておっては一向に自分のことを悪いと思えないなら きゅうきゅうの目に遭わせて改心させるしかないですが

 それでいいのですか? 

 
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