第259話 盗っ人たけだけし

文字数 816文字

 ひとの手からたたきおとして奪うひとがものすごく増えてる

 もちろんこの世の中には自分のものなんてひとつもないけどだからといって泥棒であるあなたのものもひとつもないよ

 すなわちどうゆうことかわかるよね

「ゲンム なんかニュースがすごいことになってるよ」
『ああ 隣の国の街を無理やり自分の国にしたって言ってるな』
「戦争ってなんでも獲りあいなんだね」
『そうだな 土地を獲り合い自分達の神様を信じさせるフォロワーを獲り合い そのために兵士の命を獲り合う 兵士ではおさまらなくて子供や年寄りの命も獲り合う』
「あ そういえば シャムがこんな記憶を残してくれたよ」

 シャムが毛虫となってツバメに呑まれて

 そうしてツバメたちと一緒に隣国の核弾頭を滅しに行った時

 一転天がかき曇って大音声が響き渡ったって

『この 盗っ人めらが!!』

 その声は日本語だったのか隣国の言葉だったのかはわからないけど日本の国の土を放射能にまみれさせようとしたことを叱り飛ばしてるみたいだった

 でもねえ

 どうやら侵略をすることを叱ってるだけの意味じゃなかったみたいなんだ

『どういうことだ』
「あ ゲンムの手話 なんかその大音声みたい」
『そういうのはいいから 日本を攻めようとしてたから叱られたんじゃないのか』
「ううん あのね どこの国の言葉かはわからないけどこんな風な感じがしたんだって」

『土地を人間のものと思っておるのか!!』


『ふーん…』
「なんとなくわたしはわかるんだ シャムのずっと前からの想いも伝わってくるから」

 それはね

「その土地の人間はその土地土地の神様に地面をお借りして住まわせてもらってるだけなんだ って」
『成程なあ…』

 敵から土地を奪っているようにみえて

 それは敵の所有する土地じゃなくて神様の土地をその街の神さまにお恵みで住まわせてもらってるだけ

 
『つまりは 天の賊 ってことか』
「うん 神様から盗んでるんだよ」

 ゲンムが厳かな手話でつぶやいた

『恐ろしい罪だ』
 
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