第223話 騙されてあげてるだけなんだよ

文字数 1,528文字

 道中は遅々として進まずなぜかというに遅々遅々小鳥のようなことばかり怒るから(起こるから)だよ

 ミサイル撃たないで

 せっかくシャムがシーズ・ファイアしてくれたのに

 わからないわけはないとわかってるくせにそれをやるということは

 国民も脅してるってことだよね

 もしもほんとうにそうだとしても特に驚きもしない

 だって自分さえよければいいっていうひとたちだから

 自分さえよければいいっていうのは裏を返せば自分さえ正義ならばあとは全員悪でいいっていう考え方だよね

 自分さえ『いいもの』になれれば残り全員『わるもの』でいいんだという

 『わるもの』を『いいもの』に導いてあげようとかそういう気はさらさらなくて

 よくあるエンタメのアニメなんかの演出では悪を善に導くような描写がされることもあるけれどもそれは結局善に導いているときの自分の姿が『映える』からでしかないもんね

 ほんの少しだけ深いっぽい描写を入れとけば正当化されてしまうという

 そんなわけないよね

 せっかくシャムがツバメと一心同体になって隣国の核を消し去ってくれたのにこれじゃあまた元の木阿弥だよ

 さっきも言ったけど万が一日本のそれも極めて官位ある臣下の中にスパイのような売国奴がいたとしたら

 日本の龍の形をしたその中央部分ぐらいのところを跨ぐようにして飛行していったミサイルをね

 まさか民の目を逸らすだけでなく

 お前ら俺ら、あ、女の偉い人たちもいたんだった、私たちの言うこと聞かなかったらわかってるんだろうな

 守ってやらないぞ=もっと攻撃させるぞ

 まさか

 まさか

 けれどもまさかを想定して生きてる

 騙されることを想定して生きてる

 それも騙されたフリをするんじゃなくて、ほんとうに騙されても別にどうということないということを織り込み済みで生きてる

 仮にそのまさかであったとしても

 やればいい

 やりたいだけやればいい

「モヤ」
「うん」
「ゲンム『ああ』」

 今こそみなさん歌いましょう

 過去より伝わるそのまこと

 もしもミサイル半分の

 距離しか飛ばずに堕ちたなら

 あなたの頭上に堕ちるかも

 あなたのかあいいそのみ子の

 半身削げてしまうかも

 あなたの大事な片割れも

 鮮血鈍血変わるかも

 白骨ひとほね汲めぬかも

 まさかまさかのえらいひと

 それがホンキのホンネなら

 二度と当てにはいたさぬよ

 みなさん神棚戸を開き

 二礼二拍手一礼の

 まことの祈りを捧げましょう

 仏壇灯明ともしなよ

 正座でぺたんと崩る膝

 彼氏に捧げて生きなさい

 彼女に預けて暮らすのよ

 えらいひとたち知らぬ間に

 庶民の我ら臣民は

 神仏まことを捧げましょう

 総活躍などいらぬこと

 人智で日も夜も明けぬのよ

 ただただ神棚おろがんで

 ただただ神仏手を合わせ

 ざっ と流すよ那智の瀧

 科学も知恵も大臣も

 ざっと流して清めましょう

 我が身とココロを洗いましょう

 依怙も贔屓もないことは

 忖度遠慮はいらぬもの

 忖度恐喝悪逆の

 えらいひとたちさようなら

 地に足つける臣民は

 飛び交うミサイルあらそうか

 あらそうあらそう争うか

 いやだめいやだめ争わぬ

 負けるが勝ちを知ってるの

 ほんとの勝利を知ってるの

 一億全員いちどきに

 息を合わせて柏手を

 あなたのおうちで打ちましょう

 神様よろしくたのみます

 ちゃわちゃわわれらの浅知恵を

 憐れみどうぞ神様の

 海より深いそのまこと

 われらもはやくそのココロ

 神の心にシンクロす

 仏心とくと得心す

 ミサイル砲弾核爆弾

 やれるものならやってみろ

 庶民のまことの神心(かみごころ)

 神のままにぞいただける

 ほとけのままにぞいただける

 けっしでめい心などでない

 ただただそれは神心

 ひたすらそれは仏心よ

 
「じゃあゆこうか」
「ゆこう」
「『ゆこう』」

 

 
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