第245話 カラステラスガラスDX

文字数 761文字

「?」
『どうした?』
「柿が」

 アスファルトの狭い道路の端っこに中の種が観えてる柿が落ちててね

 つぶれかかってはいるんだけど結構な大きさだからさ

「貂かな?」
『テン好きだな カラスだろう』
「こんな大きなのを?」

 確かに生き物が無防備になるのはお便所のときか食事中かどちらかだろう
 そう考えると柿の実がなっている場所で食べるよりも巣に持ち帰ってゆっくり食べた方が安全かな

「落としたのを拾わないのかな?」
『カラスに訊いてくれ』
「あそっか」

 わたしはゲンムの家の近隣のカラスに訊いてまわったよ

「ねえ あなた柿落とした?」
「ア゛ーア゛ー」
『なんだって?』
「ちがうって」
『どうしてわかるんだ』
「フィーリングで」

 つぎ

「ねーキミー 柿落としてなーい?」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
『こんどは?』
「失せろこのガキ だって」
『こわいな』

 どうやら未練なく飛び去ったのかな

 まあわざわざ戻ってぺしゃんこの柿を食べるより他の実を獲った方がごうりてきだよね

 ちょうど上空をとおりかかったひとに訊いてみたよ


「ねえーねえ〜 柿なんてしらないよねー?」

 あれ?

「わわわ」

 なにか落ちてくる

 小型の赤い…

「ばくだん!?」
『そんなわけないだろう』

 ゲンムが手話をしながら左手のひらをひらいてうけとめたよ

「わぁー」

 なにこれなにこれなにこれ ってゲンムに訊きたくてウズウズしてるのにゲンムったら

『ヤマボウシの実だな』
「ちぇっ」
『? きっとカラスが食べようと思ってたんだろうな』

 ちょっと表現しがたいんだけどイチゴの実をまあるくしてちっこい赤いつぷつぷした感じの実

 かわいいし枝がついたままなのもこういう想像ができてかわいい

『小枝の部分をくちばしにくわえて飛んでたんだろうな』
「なんでゲンムに落としたの?」

 ゲンムはヤマボウシの赤い実をぎょうししてね

『遊びだろう』
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