第244話 日繰り替えるよ

文字数 1,027文字

 お風呂に入ったときに足の指をきちんと洗うことを教えてくれたのはね

 シャム

「ねえゲンム」
『なんだよ』
「わたしこどものころって足の裏ってお風呂の樹脂製の床のところで きゅきゅきゅきゅ って歩いてこすればそれで洗えたことになるのかって思ってたけどちがうんだよね」
『まあそうだな ヘチマで洗ったりするひともあるしな その前にミコは今でもこどもだろうが 急にどうしたんだ』
「いやー こうしてゲンムと一緒にお風呂に入ってるとそういうことも思い出したりするんだよね」

 ゲンムのお母さんはお風呂がわくとかならず

「ゲンム ミコちゃん 一緒に入っちゃって」

って言ってくるんだよね

 まあ別にわたし5歳だしゲンムも高校生のくせにまるで幼稚園児の体型のまま身長だけちょっと伸ばしたような感じのカラダだから同類みたいなもんだろうし

『同類じゃない』
「わ!エスパー!?」
『わるい子にはおしおきだ!』
「わあ!」

 わたしの頭をシャンプーしてくれてたゲンムは ジャワワ ってシャワーで一気に泡を流しきって そうして背中の後ろからわたしの両脇に腕を差し込んできて ふわん て持ち上げてね

 ざぽ って湯船につからせてくれて

『ナメクジのあゆみで10秒』

って手話してきたから数えたよ

「1貂 2貂 3貂…」
『昨日の続きかよ』
「…8貂 9貂 ten 貂!」
『はいはい』

 おふろから上がるとね トコロテンがテーブルの上に置いてあったよ

「わあ!トコロテン!」
「ミコちゃんは黒蜜?酢醤油?」
「黒蜜!」
「ゲンムは?」
『レモン』

 ゲンムがかっこつけてるとテレビのニュースの音量が大きくなった

 ゲンムのお父さんが今日のトピックに反応したみたい

’今朝未明 隣国の沿岸部から弾道ミサイルと見られる飛行体が打ち上げられました 現在三カ国が合同で行っている大規模な軍事演習への対抗措置と考えられます 飛行体は日本海沖に落下したと見られます 万一金属片等を見かけても決して近づかずすぐに通報してください‘

「やあねえ」
「ああ みんな’また撃ったのか‘って日常化してるのがとても怖い もしその中の一発が意図的に 誤射 されたらどうなるんだ」

 おとうさんの言うことはもっとも

 だってシャムはさ そのミサイルから人間だけじゃなくて草木鳥獣虫まで全部救うために身を捧げたのに

 まだおわらないんだね

『ミコ』
「なに」
『結婚するまで死にたくないよな』

 え

「えー! ゲンムがー! けちこんん!?」
『笑うなよ』

 あ

 ごめん

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