第214話 戦士のかりそめの休息
文字数 899文字
「こんぴらさんにお参りしたい」
わたしはモヤとゲンムのふたりにねだったよ
だから明日朝起きたら一番で出かけることにして今夜は古いビジネスホテル風の宿に泊まった
宿のおばあさんからは朝ごはんのつかない素泊まりだけどいいかい? って尋ねられた 一応訊いてみた
「大浴場とかありますか?」
「あるよ。ちょっと燃料の重油が切れかかってるから途中で水になるかもしれないけど」
すでにぬるかったよ
「さっぶぅい『晴れた放射冷却の朝のプールみたいだな』ってゲンム なんか感覚は伝わってくるけど」
「これ、重油が切れかかってるというよりはそもそも水風呂しかやってないんじゃないの?」
そんなことないよぉー、っていうおばあさんの声が聴こえた
「えっえっ、地獄耳!」
「そういえばどうして地獄耳って言うんだろう『それは今別にいいだろう』まあ…そうね、ゲンム…ただわたしはね…こうしたいのさっ!」
ゲンムのカラダに後ろからまつわりつくみたいな感じでお腹のあたりをゆすゆすとゆすった
「あれ?ぷるぷるしないよ?『鍛えてるからな』つまらないよ モヤは?」
「やめてね」
お風呂から上がって平和に食事をしに行こうとおもったけど突然シャムの過去世が流れ込んできてあふれた
毎晩酒を飲みに出かける父親
そしてそれに『大義』を付す
人助けなのだ、と
あるいは自分はさんざん親孝行をしたからこうすることぐらいよいだろうと
わたしの中に違和感が生まれる
親孝行はよき行いだろうか
シャムの感覚が即座に脳の前頭葉あたりの電気信号となってわたしの感覚を上書きする
「我よし」
「『えっ』」
「親孝行は我よし ほんとうの親への態度は‘済度’ 」
己が中絶擁護して
我を神とぞのたまわく
徒党を組みたる酒うたげ
言い訳ひとつもいらぬはず
言い訳わけたる忘薬を
かの女人すら威張る風
これらを微塵と砕くには
お不動さまのお姿を
まぶたの裏にうかべつつ
身魂汗を垂らしつつ
体ゆすぶりゆりゆりゆり
ココロゆすぶりゆりゆりゆり
早く目覚めてくだされと
怒号の漏れるもおそれずに
渾身渾心気を奮い
改心せぬかと鬼の顔
鬼の顔鬼の顔
しかれどココロのその形
満度の真円お月さま
わたしはモヤとゲンムのふたりにねだったよ
だから明日朝起きたら一番で出かけることにして今夜は古いビジネスホテル風の宿に泊まった
宿のおばあさんからは朝ごはんのつかない素泊まりだけどいいかい? って尋ねられた 一応訊いてみた
「大浴場とかありますか?」
「あるよ。ちょっと燃料の重油が切れかかってるから途中で水になるかもしれないけど」
すでにぬるかったよ
「さっぶぅい『晴れた放射冷却の朝のプールみたいだな』ってゲンム なんか感覚は伝わってくるけど」
「これ、重油が切れかかってるというよりはそもそも水風呂しかやってないんじゃないの?」
そんなことないよぉー、っていうおばあさんの声が聴こえた
「えっえっ、地獄耳!」
「そういえばどうして地獄耳って言うんだろう『それは今別にいいだろう』まあ…そうね、ゲンム…ただわたしはね…こうしたいのさっ!」
ゲンムのカラダに後ろからまつわりつくみたいな感じでお腹のあたりをゆすゆすとゆすった
「あれ?ぷるぷるしないよ?『鍛えてるからな』つまらないよ モヤは?」
「やめてね」
お風呂から上がって平和に食事をしに行こうとおもったけど突然シャムの過去世が流れ込んできてあふれた
毎晩酒を飲みに出かける父親
そしてそれに『大義』を付す
人助けなのだ、と
あるいは自分はさんざん親孝行をしたからこうすることぐらいよいだろうと
わたしの中に違和感が生まれる
親孝行はよき行いだろうか
シャムの感覚が即座に脳の前頭葉あたりの電気信号となってわたしの感覚を上書きする
「我よし」
「『えっ』」
「親孝行は我よし ほんとうの親への態度は‘済度’ 」
己が中絶擁護して
我を神とぞのたまわく
徒党を組みたる酒うたげ
言い訳ひとつもいらぬはず
言い訳わけたる忘薬を
かの女人すら威張る風
これらを微塵と砕くには
お不動さまのお姿を
まぶたの裏にうかべつつ
身魂汗を垂らしつつ
体ゆすぶりゆりゆりゆり
ココロゆすぶりゆりゆりゆり
早く目覚めてくだされと
怒号の漏れるもおそれずに
渾身渾心気を奮い
改心せぬかと鬼の顔
鬼の顔鬼の顔
しかれどココロのその形
満度の真円お月さま