第225話 食料高いよ

文字数 1,547文字

 定期的に閑話休題を入れないと叱られるような気がしているからギャランの中での会話は極力そんな風にしてる

「そういえばシャムの思念が言ってたんだけど」
「え ミコのじゃなくて」
「うん だってわたしお買い物とか子供だけじゃ行けなかったから『なるほどな』そうだからシャムが言うにはね スーパーの食料品の値段がどんどん上がってて困るって」
「ちょっとまってミコ なんでシャムがそんなこと分かるの? 今はもう買い物にいけないでしょ?」
「ううん 死んだ後の世界にもあるんだって スーパー」
「『ええ』!?」

 だってシャムがそういう思念を流し込んでくるんだもんしょうがないよ

「あれじゃないの? 向こう側から娑婆を観てそう言ってるだけじゃないの?」
「ううん ペットボトルのお茶がね 油断してたら全部10円ずつ上がってたって『ちょっと待て 死んだ後もお金があるのか?』あるんだって」
「ほんとかなあ」

 わたしたちは最近の情勢を調査・検証するためにもお昼はギャランでスーパーに向かった めいめい好きなお昼ご飯を買うために店内を物色する

「ミコはパンかい?」
「うん あ これおいしそう」

 わたしは‘キャラパン’と書かれたポップの立っているバスケットから一個取り上げる

「チョコパンだけどアンパンだ」

とかなり際どいコメントをしたよ

「モヤは? お弁当?」
「うん ‘アサリたっぷり煮しめご飯’」
「『うまそうだな』ってゲンムは?あれ?」

 サラダ煮豆?

「『カップ入りの野菜サラダが今日のお買い得品になってるからそれを買ってその上にこの煮豆を乗せてそうして一袋28円の青じそドレッシングをかけて食べればタンパク質も獲れるしお得だろう』まあ確かにそうって言えばそうだけど…」

 イートインで食べることにした

 女子3人でひとつのテーブルに座って食べてたら近所の商業高校の女子たちがやってきて隣のテーブルに座った

「あー 死活問題だよねー」
「うんうん だってお菓子が軒並み10%アップだよ?」
「チョコとかもう買えないよねー」

 そうなんだね

 せちがらい世の中だね

「ねえ おねえさんたち」
「あ かわいー」
「あの おねえさんたちお料理とか作ってますか?」
「ウチはお母さんの手伝いして作ってるよー」
「ウチもウチも」
「ウチはちょっと任せっぱなしかなー」
「でもさー 下手に野菜とかお肉とか買って料理しても却って高くついちゃったりするよねー」
「ねー」
「『半額の野菜とか 見切り品のキノコ類とか』」
「それがさー 前みたいに夕方過ぎたらすぐに割引したりとかないんだよねー」
「そうそう ほんとの閉店になってもどうかなってところだもん お母さんと一緒に買い物に行ってお母さんなんかお惣菜コーナーとか10往復ぐらいしてるのに店員さんも並べ方を直してるだけで値札貼りになんてこないんだもん」

 そういうお姉さんたちがテーブルの上に置いてるものを観るとね

「『なっとう?』」
「そっだよー 安いもん」

 確かに

 大体3パックで100円前後で最安値のものだと45円なんてのもあるから

「でも お昼に納豆だけ?」
「うん 納豆3パックで300kカロリー? 結構午後からの授業ももつよー」
「あ ほんとに昼休みなんだねー」
「『なら午後からの授業納豆の匂いさせて口の中もアフター納豆のままで出るのか』
「「「いや」」」

 おねえさんたちは女子3人で声を揃えた

「これも食べるから」

 ハーフ大根

「マイおろしがね」

 テーブルの上でタオルにくるんで持ってきていたおろしがねで すりすりし始めた

 そのまま納豆のパックの上に大根おろしをかけて

 出汁をかけて

 まぜる

「これなら大根おろしのおかげでネバネバ感も残らなくて匂いもしない」
「ごはんは?」

 女子3人は答えた

「ここ半年食べてない おかずだけ」

 いいのかな

 ほんとに
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