第283話 落ち続けるひと

文字数 564文字

 底辺という言葉があるけれどもその底がなかったらどうなるだろうか

 底辺となるひとがいなかったらどうなるだろうかということと置き換えてみてほしいよ

 落ちずに浮上するひとがいるのは底をうごめくひとがいるから

 シャムとその恩人とは底辺のことをつまりは土台と言ったんだろうと思う

 土台

 栓という言い方もできるかも

 底ぬけでないのは土台であり栓となるひとたちがいるからじゃないのかな って最近は思えるようになった

 なんともなしに土台となるひとたち

 なんとなく栓となるひとたち

 もしその底辺のひとたちがもう嫌だと言って横にずれたら

 順繰りに奈落の底に落ちていくよ

 底辺のひとたちはその時落ちるんじゃないよ

 ずれるんだよ

 底辺のひとたちは世で意見の通りやすいひとたちの『世界観』につきあってくれてるだけ

 その『世界観』はもういいから って底辺のひとたち全員がするりと横にずれたら

 落ちるのは頂点のひとたち

 それとも頂点のひとたちはあえて底辺に甘んじて自分たち全員がズボズボと落ちていくことをくいとめるかな

 もしそういう損な方を選ぶ性根が働いたのならば極めて平に近い底の直線を突っ張って落ちずに済むかもしれない

 奈落のその下に何があるのかはわからないけれども

 敢えて底辺で礎となってくれているひとたちのことを

 時折は思い浮かべた方が

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