第263話 ねこちゃんうさちゃん

文字数 960文字

 ねこ年がないのはねずみのせいだというお話を知ってるけど

 ねことうさぎの関係は?

「保護猫だったんですよ」
『かわいい…』

 まさかゲンムがこんな手話をするなんて!

「ゲンムの語彙に‘かわいい’ ってあったんだね」
『おみくじ引いた時から言わせておけば…』
「まあまあゲンム わたしもびっくりしてるのよ」
『母さんまで』
「みんな何言ってるんだ ゲンムだって女の子なんだから当然だろう」
『父さん…』
「でもゲンム 無理しなくていいからな」
『まったくみんなして わたしは天地の法則に素直に従ってるだけだぞ!』

 ああやっぱり‘!’が語尾につく手話がゲンムだ

 護国神社での初詣の後にやってきたのは元旦から唯一営業していた個店の純喫茶店

 茶店みたいに座敷の席があって このお店の看板ねこが座敷をゆるゆると歩いてるんだよね

 それでそのねこはしとやかに正座するゲンムの膝に前足を とっ て乗せて にゃあ っておとなしく一声鳴いたんだ

「あっ コラ だめだよ」

 マスターがやんわりと叱責の声をあげたのでなにかとおもえばね

 うさぎが

『か…かわ…』
「「「おお!」」」
『…やめた』

 白いお座敷うさぎが

 なぜかこんども ぴょいぴょい 歩いてゲンムのやっぱり膝にねことはちがって鼻を ふんふん とくっつけた

「どうしてゲンムばっかり」
『人徳だろう』

 おとうさんがマスターに質問する

「このうさぎも飼っておられるんですか?」
「ええ このうさぎも’保護うさぎ‘ なんですよ」
「保護うさぎ?」
「はい ピンクの肌剥き出しで…ほら 因幡の白うさぎが鰐に毛をむしられたあの丸裸みたいな状態で…」
「虐待 ってことでしょうか?」
「なんでそんなことをするのかわからないのですが そういう状態でウチの店の前に段ボールに入れて置かれていたんですよ」
『なんて奴だ!クソが!』
「それでこそゲンムだよ!」
『いや…なんて奴だ!うんこが!』
「…」

 ていねいに言ったところでクソはクソだよ

 ところでおかあさんが言った

「ねこちゃんが保護されて うさちゃんも保護されて…ねずちゃんが保護されたって話は聞かないわねえ…」

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 どなたか ねずみを保護された方がおられたら

 この小説のコメント欄ででもそっとお教えくださいね…

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