第278話 たのしむことってむずかしい

文字数 997文字

 どうして楽しむことが難しいかというと世の大半のことが苦しみを伴うから

 苦そのものとは言ってないよ苦を伴うんだよ

 生まれることが苦で
 
 老いることも苦で

 病気も苦で

 死ぬことも苦

 どうやって楽しめっていうの?

 でもヒントは思わぬところにある

 たとえばいじめに遭う子が生き地獄というぐらいの苦にあったとして

 その子が何十年も経って大人になったときに その時の苦しみを嘆くんじゃなくて苦しみは苦しみとしてそのままに

 楽しむ

 楽しむという言い方がそぐわないのだとしたらその子こそが世の苦しみについて

 語る資格がある

 たとえば災害で大切な人も家も仕事も失ったひと

 そのひとが辛い過去はありながらも新しい生活に踏み出した時に

 楽しむ

 やっぱり楽しむという言葉がそぐわないのだとしたらそのひとこそが世の苦しみについて

 語る資格がある

 たとえば戦争で戦死した兵隊さん

 その魂が英霊となって死した時の銃弾や爆弾や戦地での病で死した時の地獄の辛さはありながらも世を照らし始めた時に

 楽しむ

 やはりやはり楽しむという言葉がそぐわないのだとしたらそのひとこそが世の苦しむひとを

 守護する資格がある

 守護する資格

 ひとを護るのに資格などいるかという方もおられるかもしれないけれども資格は必要

 だって守護しようとする相手を依怙贔屓してたらその守護というのは誰かの苦しみとなるから

 だからだよ

 ほんとうに世の苦しみを語りさらにその先にある現に苦しんでいるひとたちを守護する存在は

 絶対に絶対に絶対に絶対に依怙贔屓をしない存在でなくてはならない

 もう少しで核心に近づけるとうていわたしごときでは漸近できるだけであって到達には至らないとしてもきわめてほんとうのことをようやく言える

 依怙贔屓せずに守護できる存在は

 落としに落とされた存在でないとできない

 蔑みに蔑まれた存在でないとできない

 不運に不運を重ねそれでもまだこれ以上の不運な巡り合わせにあった存在でないとできない

 シャムはそういうことを過去世にわたって延々と繰り返してきてわたしがその記憶を引き継ぐ直前の過去世においては虫に変化しツバメに嚥下されるという苦しみはあったれどもその大功徳で血肉となったそのツバメが日本を襲う弾道ミサイルを滅ぼし尽くしたそういうさらなる重ねての大功徳を施し

 まさしく日本の守護神となったことは

 とてつもない困苦でありながらも

 たのしきかな
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