第196話 雨後の筍の如きインフルエンサーとカルトどもめ

文字数 1,330文字

 インフルエンサーもカルトもそれそのものの論旨やら口先やら教義やらが脅威なんじゃないんだよ

 SNSのTLを覆い尽くして「ほんとうのこと」を目立たぬようにしてしまうことが狙いなんだよこいつらの


「煙幕で観えない中から攻撃したらどうだろう」


 第八十二番札所 千手院 根香寺

 牛鬼の伝説があるという

 牛鬼の退治を弓矢の名手に依頼したが肝心の牛鬼が姿を現さず、ご本尊たる千手観音さまに願をかけたところ3×7=21日の満願の日に牛鬼が現れ見事退治できたという

 伝説ではないであろう

 事実であろう

 日本の各地に伝わるこのような伝説のほとんどが事実である

 ことにこの千手観音さまを彫像したその霊木の切り株からは香りが立ち続けたことからこの寺社の名が根香寺になったという

 まさしく、ご神木が現実におわし、おそらくはそこにお住まいになる神仏に奉仕し供養することは事実・現実・まことのことであって、くだらぬ忖度で浅瀬のちゃわちゃわでしかない教祖どもや古老の官位ある者どもにははーと媚びへつらうことは大和魂の荒廃

 日本という国の荒廃

「『教祖に扶養義務を果たしてきたかを尋問したらどうだろう』って、ゲンム鋭いねー」

 ミコの言動がどんどん5歳のそれから急速に大人びていっているような気がする

 いや、「大人の対応」などという子供どもが主張するところの大人という意味では決してなくって、老成しよきことあしきことを観点することのみによって把握し暴き尽くすことのできる人格と見識と胆力とをそなえた、ホンモノの大人

 ニセモノの大人に対するホンモノの大人

 もはやアラ80の認知症となりし古老どもや見えすいた詭弁をさも『我の背後に守護者がおるぞ』と蓋で口を覆うてないのをいいことに台所のシンクの三角コーナーに溜めた生ゴミで濾過する汚水を流出し続けるようなくだらぬミニ教祖プチ教祖どもが跋扈する世をなんとしても正さなくちゃならないんだどんな方法を使ってでも

 そうしないと日本は滅びる

 日本が滅びる

 文豪の中の文豪の名実ともにこの日本という国の文学の、ポピュラーさにおいても芸術性においても精神性においても最高とされるその小説のラストシーンが、そういうラストシーンが真正面から存在しえたかつてのこの国の面影が

 もはやない

 

 異世界へゆけばよい

 チートにまみれればよい

 深いっぽい浅瀬ちゃわちゃわの主人公を神に祭り上げればよい

 フォロー数とフォロワー数の差が大きいことが格付けだとホンキで考えているのならそうすればよい

 
 取り繕うことが映えだというのならすればよい

 世界観といえばなんでも理屈になるのなら築けばよい

 閻魔さまの前で今ごろ虚言のために舌を抜かれかかっているかもしれぬものを国王のように帝のように君主のようにカルトの教祖のように崇め奉りほんとうの君主すら質素と倹約を旨として民と同期し艱難辛苦を旨としようとしておられるところをやろうとするのならやればよい

 きわめて単純なことで

 ホンモノの仏は、こう言う

 
 愚かなわたしが筆を染め造りし歌であるけれど


 やりたいものにはやらせておいて

 わたしはシャムの遺志を汲んで

 おそらくはシャムのほぼすべてを後継するであろうこのミコという5歳の女子に


 賭けよう


 
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