第149話 石清水の手前で 徒然草52

文字数 406文字

□仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝んだことがなかったので、心苦しく思っていて、ある時思い立ちて、ただひとり徒歩で参詣した。極楽寺・高良などを拝みて、これだけだと心得て帰って来た。さて、仲間の人に会い、「これまで何年かの間、思っていたことを成し遂げました。聞きしにもまさる尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人が皆山へ登って行ったのは、何事があったのだろうか、心惹かれ行きたかったけれど、神へ参ることこそ本意なれりと思って、山までは見ず」とぞ言いける。ちょとしたことでも、案内人がいてほしきことなり。
※石清水八幡宮は皇室の守護神。男山の山頂に鎮座されている。門前で山の上を眺め拝礼したのだろうが、肝心な所へ行かなかったが、本人の心の中ではこれで良かったのだと思えば、それも良しではないだろうか。しかし事前調査し旅に行くのは大切かもしれない。肝心なところで抜けていたのでは、一緒について行く者にはたまらない。
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