第108話 物欲はご法度 徒然草11

文字数 470文字

□神無月の頃、栗栖野という所を過ぎて、ある山里に人を尋ね入ることになったが、遥かな苔の細道を踏み分けて、心細く住みなしたる庵がある。木の葉に埋もれる樋からの雫の音だけで、なにも聞えない状況であった。閼伽棚に菊・紅葉など折り置いてある、さすが住む人がいるからのこだわりなのだろう。このようにしても存在できるものだとしみじみとした趣を感じていたところ、かなたの庭に、大きな蜜柑の木が、枝もたわわになっているのであるが、周囲を厳重に囲いをしているではないか、少し興ざめした気分になり、この木がなければ良かったにと思ったことよ。
※たわわに実ったミカンを他に取られないように厳重に幹の周りを囲って保護している。猪や
人間からとられないように工作したのであろう。普通の人にとっては当たり前のことである。
出家した人は生きていくうえで最小限のもので生活をする。贅沢な生活や考えは控えなければならないのでしょう。ミカンの木を見るまでは、つつましく生活している人に、共感を覚えていたのだろうが、物欲の気配を感じ、まだ厳しさが足りないと思われたのでしょう。
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