第123話 廃屋にスミレ 徒然草26

文字数 375文字

□風も吹かないのに散る花と同じように人の心の花も、馴れ親しんだ年月を思えば、愛おしいく聞いた言葉ごとに忘れられないものだけれど、我が男女の仲は遠ざかってゆく決まりではあるが、亡き人の別れよりも増して悲しいものである。それだから、白い色が染められることを悲しみ、路が分岐点で分かれるように、堀川院の百首の歌の中に、昔見し妹が垣根は荒れにけりつばな(ススキ)まじりの菫のみして 寂しい景色、そのようなことがあったのでしょう。
※荒れ果てた家屋の外に、薄が生い茂った中に一輪のスミレが咲いていた。ああ、あの人も今は
別の人へ行ってしまった。あなたより他に良いひとがいたのでしょう。若い時は、恋しく愛しく思うことが出来る。一瞬なのでしょうか。若いころは男前、もてたでしょうよ。今は禿げおやじ。戻れない過去はあきらめ。現状に楽しみを見出し生きていこう。
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