第107話 どんな住まいが相応しい 徒然草10

文字数 887文字

□住まいが相応しく、あって欲しいのというは、仮の宿とはいいながら、興味がある。立派な人がのどかに住まれている所は、差し込んでくる月の色さえも、ひときわしみじみとしたように見える。当世のように豪華なものではないが、木立も古めかしく、わざとらしくない庭草も心あるかのごとく、すのこ・透き垣根の配置もバランスも良く、おいてある調度品も昔がしのばれあれこれ気を使われていて、心にくく思う。多くの匠が心をこめて磨き立て、中国や日本の珍しい調度品を並べたて、前庭の草木まで人工的に作っている状態は、見るのも苦しく、ひどく侘しものである。そのような状態で長く住むべきだろうか。一瞬にして、燃えて煙になってしまうのではないかと思われる。だいたい住まいを見れば家主の様子が分かる。後徳大寺大臣が、寝殿にトンビが留まらないように縄を張らさせたところを、西行が見て「トンビがいて、何の苦しみがあるのだろうこの殿の御心はその程度なのか」と、その後は参られなかったときいたが、綾小路宮のいらっしゃいます小坂殿の棟に、いつぞや縄を引かれていたので、あの例を思い出されて「あ、そうだ、烏の群れがいて池のカエルを掴まえるので、ご覧になって悲しまれたのだろう」と人が語っていたが、それなら素晴らしいことだと思った。徳大寺ににもなにか理由があったのだろう。
※住まいというのは、金持ちが華美な物を、これ見よがしに建築し住んでいるが、居心地が悪くないのだろうかと先生はいう。しっとり落ち着いた古民家みたいなところで、満月をススキを飾り、御縁から眺めるなどは風流なのでしょう。家も人が住み、窓を開け外の空気を入れ換えたり、掃除機を掛けたり、人が部屋を移動したりしていて、家居になる。住む人によって家も千差万別でいいのではないでしょうか人の住まいなくなった家は荒んでいきあばら屋になっていく。屋根が落ち、蔓草が屋内まで入り込む惨憺たる家もありますね。鳶が屋根に止まるのを嫌って縄を張る人と、カラスが蛙を狙うから縄を張る人、考えが色々あり、性格も表れる。人の心の中は分からないですが、表現すると心の内を読まれる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み