第66話 蹴鞠で鋸の屑は不適当 徒然草177

文字数 392文字

□鎌倉幕府6代将軍、宗尊親王にて御鞠があったとき、雨が降った後で、いまだ庭が乾かなかったので、どうしたものかの沙汰があり、蹴鞠奉行の佐々木隠岐入道が、鋸の屑を車に積んで、多く持ってきて、庭に敷かれ、泥土の煩いがなくなった。「取り溜める準備、有難し」と、人々は感じ合っていた。このことをある物が語りだしてところ、吉田中納言が「乾き砂の用意はしなかったのか」と仰られたので恥ずかしかった。良かれと思いける鋸の屑は、賤しく、鞠蹴りの場には異様なことである。庭の蹴鞠の奉行は、乾き砂子を準備するのは、故実であるというのだ。
※高校野球で雨でグランドがぬかるんだ場合、乾いた砂をまいている。これを鋸の屑で代用すると、おかしなことになる。昔からの仕来りがあるのであれば、蹴鞠奉行たるものは、その故実を勉強しておくべきである。現代でも、他の事例で通用するような教訓である。
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