第156話 出家は全てを捨てる 徒然草59

文字数 624文字

一大事の出家をしようと思いたった人は、避けがたい、心にかかっていることがあり本意を遂げなかったとしても、そのまま捨てるべきである。「しばらくしてからとか、このことが終ってからとか」、「同じことならあのことを始末してから」、「しかしあのことは人が嘲笑したりする
かもしれない、将来、難がないよう始末しておいて」、「長年こうしてきたので、そのこと待ても、それ程のことはあるまい。ごたごたしないように」などと思っていると、避けがたいことが一層重なって、用事が尽きるという限りもなく、一大事を思い立つ日が来るはずもない。おおよそ、人を見ると、少し道理をわきまえている人は、皆このような計画で一生を過ごしてしまう。
近くの火事などで逃げる人は、「しばし待て」と言うだろうか。身を助けんとすれば、恥をも顧みず、財をも捨てて逃れ去るのだろう。命は人を待つものだろうか、死が来ることは、水火の攻むるよりも速やかに、逃れがたいものであり、その時になって、老いたる親、いときなき子、君の恩、人の情、捨て難しといっても、捨てないではおられないだろう。
※出家するという一大事は、俗世の雑事を何時までも気に掛け、あれを処理した後に、出家しよう等と思ていると何時までも出来ない。とうとう一生を出家せず過ごしてしまうことになると兼好先生は仰るのだ。現代において出家はそれだけの価値があるのだろうかと考える。「ばかもん」と兼好先生にどやしつけられそうだ。信心がたりないのかな!
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