第27話 恩愛と民撫  142

文字数 795文字

□情感のない人も、良い一言をいう。ある鬼武者が傍の人に「お子はおられるか」と問い「一人もいません」と答えたら「それでは、人間らしい情感は分りますまい、恐ろしいことだ。子のおかげで、あらゆる憐憫の情が分ってくる」と言ったがさもありなん。
※鬼武者も子供がいたのだろうか。赤子に母親は乳を与え育てる、男は食べ物を準備するのに働き稼ぐ。テレビで動物の親子を見ていると、母親の子供に対する 憐憫の情は神様が与えたとしか思えない程、情愛に溢れている。
□親子の恩愛の関係で、彼らの心に慈悲というものがある。孝行に励む心がない者も、子を持ってこそ親の志を思い知るものだ。
※「子を持って知る親の恩」とは、もうこの頃から、語り継がれているのですね。
□世捨て人は無一物であり、手枷足枷の多い人が、人に媚びへつらったり、欲深かったりする人を見て軽蔑することがあるが、それは間違いである。
 その人の気持ちになって考えれば、愛しい親や妻子のため、恥を忘れ盗んだりするもある。盗人を逮捕し懲らしめ罰するよりは、世の人が飢えず寒からぬよう世の中を治めてほしいものだ。
※食べるものがあれば、盗みはしない。遊ぶ金欲しさに盗む者もいると思うけど。
※今の時代、生活保護法があるので、なんとか頼みこめば生きていける。
□人は資産が無い時は安定した心を持てない。人は窮すれば盗みもする。世を治めずして飢えや凍える苦しみを放置するなら、罪人は跡をたたない。
※窃盗は当時は今より多かったのだろう。警察も完備はしていなかった。
□どのように恵みを人に与えるかは、上に立つ者の奢りや浪費をやめ、民を慈しみ、農業を進めれば、下の者に利益があることは疑うべきもない。衣食の事欠かないのに、悪事を働く者こそ、まことの盗人というべきだ。
※昔の上に立つ人は民衆から搾取することによって、贅沢をしていたと思う。
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