第168話 名前と顔の記憶 徒然草71

文字数 485文字

□名前を聞くと、すぐに面影を推し測られる心地がするのだが、会って見た時は、また、以前思っていたままの顔をした人はいないものである。昔の物語を聞いても、このごろのあの人の家はそこらあたりだろうと記憶していて、あの人も今見ている人の中の誰かに似ていると連想するのは、誰も同じようなことを考えるのではないだろうか。また、如何なる折にか、今、人の言っていることが、見ている物も、自分の心の中で、このようなことがいつかあったとように思えていつだったかは思い出さないけれど、確かにあったような心地がするのは、私ばかりが思っていることだろうか。
※過去に出会った人の名前を聞くと、その面影が頭に浮かぶ。しかし実際にあうと、イメージとえらい変わったなと思う。年月が顔に皺や履歴を刻み込み、当時の面影とは異なるのは当然のことだろう。また似たような顔の人を、過去に出合ったあの人にそっくりと思うことがある。顔の構成は皆同じだから、識別するのに特徴をつかむ。特徴が同じだと、類型化されて連想する。人の頭の中は複雑でどうなっているのか、分からない。自分の頭の中も、自分で分からなかったりする。
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