第139話 目・眉・額なども腫れ 徒然草42

文字数 526文字

□唐橋 中将という人の子で、行雅僧都といって、教相の分野で、人を教える師匠の僧がいた。気の上がる病があって、年が長じてくるに従い、鼻の中もふさがり、息もしにくくなったので、色々と治療するけれど、病気がこじれてきて、目・眉・額なども腫れまどいて、被さってきた、物も見えず、二の舞の面のように見えたが、ただ恐ろしく、鬼のような顔になり、目は頭頂の方につき、額の辺が鼻になりなどして、後は坊の内の人にも合わず籠りいて、長年なお患い遂には死んでしまった。こんな病もあることにこそありけれ。
※病はいつの世でも恐ろしい物である。近年、癌についても手術し、元気になり元通りの生活をできる人 が多くなり、癌恐れずに足らずとなってきた。40年前は、不治の病といわれ、癌にかかれば人生お終いという恐ろしい病気だったのです。有難い医療の革新に感謝、長生きする老人が増えてきた。僧の病気は皮膚癌だったのでしょうか。ハンセン病も似たような症状ですけど、どうなんでしょう。本人は苦しかったでしょう。癩病を患った夫と看病する妻を描いた月岡芳年の浮世絵。周囲から離婚を勧められても夫を見捨てることなく一家を支える妻に対して褒美が出たことを報じている。『郵便報知新聞』1875年
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