第55話 人と会うこと  徒然草170

文字数 505文字

□たいした用事もないのに人の家に行くのは、良くないことだ。用があって行ったにしても。
用が済めば、とっと帰るべし。長尻は、とても厄介なんだ。人と面会すると、言葉も多く、体もくたびれるし、心の静かになれない。色々なことが差し支えて時間が浪費していく、お互いのために益にならない。とはいえ気乗りしない応対も悪い。気乗りしない時は、その旨を言った方がよい。気心の知れた人に、手持ち無沙汰なとき「今日はゆっくりしていって下さい」などと言うのは、この限りではないだろう。阮籍の青き眼は誰しもあることだ。そのような気に入った人が来て、のどかに喋って帰るのは、良いことだ。また手紙も「久しくご無沙汰しております」など書いているのも、嬉しいものだ。
※中国三国時代の詩人の阮籍は気に入らない人には白眼視し、気に入った人には黒い眼で対応したらしい。気に入った人には「ゆっくりして行ってください」と、言うけれど、気に入らない人には用件だけ言ってもらい、早く帰ってもらいたい。疲れるし、精神的にも長話に付き合う気にもならない。しかし自分の話を聴いてもらいたいというのは、ひとの心である。ケースバイケースで対応ということでしょうか。
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