第199話 衛士 又五郎が師匠 徒然草102
文字数 397文字
□尹 大納言光忠入道、追儺(ついな)という大晦日に行う悪魔を払う儀式の責任者の上卿を勤められることになった時、洞院右大臣殿に次第をお尋ねになったところ、「又五郎男を師とするより外に、才覚はないでしょう」とおっしゃった。かの又五郎は、老いたる衛士の、よく公事になれたる者であった。近衛殿が 着陣し給われた時、軾(ひざつき)公事の際、地上に膝まずくとき敷く半畳の敷物を忘れて、係の外記を召さたので、又五郎が火を焚いていたのだが「まず軾を召さるべきや候ふらん」と、こっそりと呟いたというが、いと心ひかれることである。
※新しい事は、なかなか仕来り等というのは、覚えにくいものである。先輩に訊くと、老人だが公事に詳しく、経験もある衛士がよいとアドバイスされた。本番になり、段取りの一つを忘れていたが、傍に控えていた又五郎が、囁くようにアドバイスしたという。よくあることのようで面白く、奥ゆかしい心情。
※新しい事は、なかなか仕来り等というのは、覚えにくいものである。先輩に訊くと、老人だが公事に詳しく、経験もある衛士がよいとアドバイスされた。本番になり、段取りの一つを忘れていたが、傍に控えていた又五郎が、囁くようにアドバイスしたという。よくあることのようで面白く、奥ゆかしい心情。