第30話 落馬の相  145

文字数 279文字

□上皇の随身で弓馬のベテラン重躬が、下級武士の信願に「落馬の相があるので、よく慎みたまえ」と言った。周りは本当かいなと疑った。信願が落馬して死んだ。道に長じる者の一言は、神のごとしと人は思った。それでは信願はどんな相だったのかと問うと「落ち着きの悪い尻で荒っぽく跳ねる馬を好んでいた。言ったことは間違いだっただろうか」と返答した。
※ベテランというのは長年修行を積み、生れつきの才能の持った人である。そういう人は的確に要点をつき発言する。芸大をでた人は音楽につけ美術につけ、素晴らしい技術と専門知識をもっている。馬術のような運動選手にしてもそうだろう。
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