第189話 諸矢をたばねるな 徒然草92

文字数 562文字

□ある人、弓を射ることを習うのに、二本の矢をたばさんで的に向かった。師が曰く、「初心の人は、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼んで、始めの矢をなおざりという等閑の心がある。毎度ただ後の矢はなく、この一矢だけに定まるべしと思え」と言う。わづかに二本の矢、師の前にて、一つをおろそかにしようと思うだろうか。懈怠という怠け心が、みづから知らなかったといえども、師はこれを知っている。この戒めは、万事にわたっていえることだ。仏道を学ばんとする人は、夕には朝があるだろうとを思い、朝には夕があるだろうとを思いて、この次に真剣に修行しようと自分に誓う。まして、一刹那の中において、懈怠の怠け心があることを知らんのだろう。ただ今の一念において、ただちに実行することの甚だ難しいことであることか。
※一球入魂ではないが、この試験がだめなら、次の試験を受ければいいという、懈怠の心が、意識しないのに 自分の心にある。後ろは崖、退く道はないと思えば、底力を出さざるを得ない。実力以上のものが出せる。そんな環境に自分を追い込み鍛錬することが、実力アップにつながるという。言われてみれば、その通りでございます。いかに諸矢を束ねて、的に向かっていたことか、反省します。それを言ってくださる師匠がいなかった。兼好先生に言われて、初めてわかりました。
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