第171話 蟻の如く欲深く働き 徒然草74

文字数 716文字

□蟻の如くに集まって、東西に急ぎ行き、南北に走る人、立派な人あり、賤しき人あり。若い者あり。行く場所があり、帰る家があり。夕べには寝る、朝には起きる。生活の為に働くというのは何があるのだろうか。生きることを欲深く望み、利のあることを求めて、終わる時がない。
身体を養生してどんな事を待っているのだろうか。約束できることは、ただ老いと死とだけである、それらは来ること速やかにして、一瞬としてとどまらない。 老い死ぬことを待つ間、何の楽しみがあるというのか、惑える者はこれを恐れず。名前や利益に溺れて、物事の終わりが近いことを顧みないのである。愚かなる人は、また、これを悲しむ。永久不変であろうと思って、絶え間なく変化するという道理を知らないからである。
※現実に生きて生活しているとき、食うためには働かなければならない。妻子を養い子ども大学までやるとなると、朝から晩まだ忙しく立ち働かなくてはならない。その為、1日は全てにそれに費やされ兼好先生のいう、ときの流れ、いずれは死が待っていることを認識せずに過ごしてしまう。定年後、仕事をしなくて年金をもらえるようになり、いよいよ死期が近づいているのに
忙しく、仕事でないことに一生懸命取り組み、時の流れを忘れようとする。永遠に自分は生き続けるのだと信じている所もある。まさに、愚かな自分であることを、思う。先生の言う通りでございます。仏門に入るのはなかなか難しい所もありまして、せいぜい毎朝、仏壇に向かって線香とお灯明を揚げ、お経を吟じているのであります。どうか仏さまお救い下さい。ご先祖様も極楽浄土に行かれていることでしょう。わたくしもいづれ皆様の所へ仲間入りをお願いしてるところです。
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