第56話 外より内を見よ 徒然草171

文字数 1,039文字

□貝を覆っている人が、自分の前に在る貝を見ずに、他所を見渡したり、人の袖の影、ひざ下まで目配りする間に、自分の前の貝を覆われてしまった。上手に覆う人は、他所迄むやみに取るようにせずに、自分の手元を覆うようにするだけ、結果的にたくさんの貝を覆っているようだ。碁盤の隅に石を立てて弾くのに、向うの石を目指して弾くと、当たらないものだ。自分の手元をよく見て、井目に真っすぐ弾けば、立てた石に必ず当たるものだ。万事、外に向かって求めてはいけない。ひたすら手元をよく見て正しなさい。
※ゴルフをやるときも、グリーンの旗を見詰めて、スイングすればどうなります。空振り三振ですよ。クラブを振り抜くまで球を見詰めるのが、良い球が飛ぶのですよね。手元を見詰めて何事も進めるのが大切で、外ばかりを気にしていると、肝心の内側が上手くいかないということをたとえ話で言っているのでしょう。※
□故事に「好事を行じて、前程を問うことなかれ」というのがある。「良いことをしたからといって、将来を期待してはいけない」と言っている。世の中を治めるのも、かくあるべきである。
内を慎まないで、軽んじ、ほしいままにして、秩序が無くなれば、遠国は必ず謀反を起こす。そこで初めて計略を巡らすのでは遅い。「風に当たり、湿気の多い所に臥して、神様に病気を治してくださいと言うのは、愚者のいうことだ」と医学書に書いてある通りだ。目の前の民衆をもの憂く感じるのをやめて、恵みを施し、政治を正しく行えば、その影響力は遠方まで波及するのである。兎が遠征し三苗を征服するよりも、軍隊を帰還させ徳のある政治を行う方が最高の君主といえよう。
※打算的な考えで、なにか良いことをしてはいけない。見返りを求めてするのでなく、ボランティア精神で善行を行うということでしょう。計算高いとかケチとかいわれると、あまり良い気はしないけど。医者の不養生という諺もありますが、人の病気は見立てても自分の病気には気が付かないこともある。現在、日本には軍隊がない。これは国じゃないと言う評論家もいる。しかし戦後75年間も戦争が無かった。アメリカを傭兵代わりに雇っていても、平和であるほうが、良い。将来、日本も軍隊を持ち、戦死者を大勢出す可能性もあるかもしれない。戦争は反対です。外国の様子ばかり伺って、国内をおろそかにする政治家はいけないのです。
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