第35話 能をつかんとする人  150

文字数 665文字

□技能を習得しようとする人が「良くできないうちは、うかつに知られないようにし、うちうちによく習練し上手くなってから、人前に披露すれば、奥ゆかしい」と言うことがあるが、こういう人は一芸も習得することが出来ない。
※密かにきずかれぬよう練習し、人前でやるときは「こいつやるじゃない」と言わせたいのが人情である。しかしいつまで経ってもうまくならない。多種多様なことに手を出すが、いずれも一人前にならない。私のことを言われているようだ。一つでもいい、人より優れたものがあればと思う。
□まだ未熟なうちから、上手の中に交じり、非難され笑われても恥ずかしがらず、無関心で技能を身に着けていく人は、天性の素質はなくてもこだわらずに、むやみに年月を過ごさず稽古に励めば、堪能だが稽古に励まない人よりは、ついに名人の位に至り、徳の高い人に許される比類なき名を得ることになる。
※そういう人も稀にはいるということでしょう兼好先生。上手に混じりて笑われても、恥ずかしがらず淡々と稽古に励むのですね。それでも凡人は抜け出せないのです。どうしてくれますか。「まだお前のは稽古とも言えない」今の十倍のエッセイを書いてみろと言われそう。
□天下の名人といっても、始めは優れていないといわれ、欠点も多かった。されどその人、道の掟を正く守り、これに重きをおき放埓をしなければ世の博士として、万人の師となること、諸道変わることはない。
※兼好先生がそうおっしゃるのであれば、掟とは必ず守らなければならない仕来り(習わし)を守り、励んでみたいと思います。
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