第223話 五徳冠者と平家物語 徒然草226

文字数 556文字

□後鳥羽院の御時、信濃前司行長は、学問をすること讃えられているが、漢詩の一体化である楽府の御論議の番に召されて、七徳の舞を二つ忘れたので、五徳の冠者とあだ名がついてしまったことを、心苦しいと思い、学問を捨てて遁世していたのを、慈鎮和尚が、一芸ある者をば
下層階級の者までも召し抱え、可愛がっておられましたので、信濃入道をも臣下として召し抱えられていた。この行長入道が、平家物語を作りて、生仏といいける盲目に教えて語らせたのである。さて、延暦寺山門のことを、ことに立派に書いている。九郎判官の源義経のことも詳しく知っていて書き載せていた。源範頼の蒲冠者のことはよく知らなかったのか、多くのことは記すのを漏らしている。武士のことや、弓馬のわざは、生仏が、東国の者であったので、武士に問い聞き書かたのである。かの生仏の生まれつきの声を、今の琵琶法師は学んでいるのである。
※七徳とは「武」のもつ七つの徳。暴を禁ず、兵を治む、大を保つ、功を定む、民を安ず、衆を和す、財を豊かにす。誰にも度忘れはある。優秀な人材をあだ名で落胆させるのはよくある事だろう。天台宗座主の慈鎮和尚に召し抱えられ才能を開花させ、平家物語を書いたという。盲目の人が難しい歴史を覚え込むのは大変でしょう。読もうとしても凡人には分らない事が多すぎる。
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