第53話 才能ある老人の態度 徒然草168

文字数 491文字

□年老いたる人が、一事に優れた才能があり、「この人がいなくなった後は、誰に聞いたらいいのだろう」などと言って頂くのは老人にとり生きているのも無駄ではない。とはいえ、なにも廃れた様子がないことは、一生をこのことに明け暮れたのであろうと、つまらなく思う。「今は忘れてしまった」と言うのがいいのではないだろうか。
大方は、知っているにしても、なんとなく言い散らすのは、その程度の才能しかないのかと聞こえ、自然と誤りも出てくるものだ。「はっきりとそうだと断定することはできません」などと言うのは、なお、まことに、その道の達人とも思われるだろう。ましてや知らないことを、得意顔で、おとなしく、非難もできない人に言い聞かせているいるのを「そうじゃないだろう」と思いながら聞いているのも、とてもがっかりする。
※優れた才能を発揮した人であっても、老人になったらその知識を、これ見よがしにひけらかすのは、聴いていて嫌になるということでしょうか。森羅万象の世の中、たかだか一つの道を探求し知り尽くしたとしても、一局面を知悉しても、他面は無智の場合もあるでしょうと言ってらっしゃるのでしょうか。
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