第68話 那蘭陀寺の大門は北向き 徒然草179

文字数 507文字

□中国の宋から戻った道眼上人が一切の経本を持ち来たって、六波羅のあたりの、焼野という所に安置し首楞厳経の講義をした。那蘭陀寺と称していた。その高僧が申されるには、「那蘭陀寺は、大門は北向きであると大江匡房公の説として言い伝えられたけれど西域伝や法顕伝などにも見えず、さらに所見がない。大江匡房公は如何なる才覚にてか申されたのだろうか疑わしい。唐の国の西明寺は、勿論北向きである」と申されたという。
※悟りを開くお経である首楞厳経の講義をしていた上人は、六波羅に寺を設け、5世紀のグプタ朝時代に仏教の那爛陀寺に因んで那蘭陀寺名付けていた。小倉百人一首の権中納言匡房公が那蘭寺の大門は北向きと説かれていたが、どこの伝聞にも見えないし、この説は疑わしいと道眼上人はおおせられる。玄奘(げんじょう)が開基した唐の国の西明寺は、北向きは勿論知っていると言ったという。
学識のある人と言えども、間違ったことを言い広めるということもあるという警告なのでしょうか。それとも上人が全ての過去の伝承を掌握いていると自負しているのでしょうか、今の世の情報化社会なら当時よりまだ膨大な情報があるので、確認は可能かもしれないですか。
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