第130話 見事な記憶 徒然草33

文字数 375文字

□今の内裏が作られた後、識者の人々に見てもらったが、どこにも難なしとて、既に引っ越し遷幸の日近くなった時、花園天応の祖母である玄輝門院が御覧になり、「里内裏だった閑院殿では、殿上の間と鬼の間の境にある壁の櫛型の穴は、丸く、縁もなかった」と仰せられた、みごとな記憶である。この櫛型の穴は葉の切り込みのようであり、また木で縁をしていたので、誤りだとして、直されたということだった。
※新しい内裏を作るにあたっては、従来の伝統を重んじ、造営するのでしょうが、専門家がみてこれで間違いないと判断しても、玄輝門院はさすが賢く覚えも良く、間違いを見つけ出した。古い記憶は曖昧になりがちであるが、中には昔のことが鮮明に頭脳に残っている人が居るものです。自分が小学校に通っているとき、こうだったと、高齢者が話されることがある。いみじかりけるである。
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