第208話 頼むべらからず 徒然草211

文字数 695文字

□すべてのことは、あてにして頼んではならない。愚かな人は、深く物事をあてにするがゆえに、恨み怒ることがある。勢いがあるからとて頼りにならない。強い者は、真っ先に滅ぶ。財が多いからとて頼りにならない。時が過ぎると失いやすい。学才がありとて頼むべからず。孔子も当時に理解されず用いられなかった。徳がありとて頼むべからず。顔回でも不幸だった。主君の寵愛をも頼むべからず。誅罰を受けることが速やにやってくる。奴僕が従うからとて頼むべからず。主人に背き逃げ走ることあり。人の厚い志をも頼むべからず。必ず心変わりする。約束ごとを頼むべからず。信義あることが少なし。自身をも人をも頼まざれば、是なる具合の良い時は喜び、非なる上手くいかない時は他人を恨むことがない。左右が広ければ障害がないし、前後に遠ければ塞がることがない。狭き時はひしゃげ砕かれる。心を用いることが少くて厳しい時は、物ごとに逆らう事に成り、いい争いして破れる。緩くしてやはらかなるときは一毛たりとも損をすることがない。 人間は天地の中の最も霊妙なものである。天地には限られる所というものはなし。人の本性、何ぞ異ならん。心が寛大にして極まらざる時は、喜怒はこれに障ることもなく、物ごとのために煩わうことがない。
※兼好先生の最も主張されたいことではないでしょうか。欲徳を手に入れようと思わず。心寛大にして、観世音菩薩の如き心持ちで生きていく。自分も他人も当てにしないで、結果よければ喜び、悪ければ他人を責めることは出来ないし、自分も責めない、しょうがないと思えば良い。心を緩くし、柔らかな考えで生活していけば、清々しい心で生きていける。
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