第164話 上加茂神社の業平と実方 徒然草67

文字数 967文字

□上賀茂神社の岩本社・橋本社は、在原業平・藤原実方である。人が常に言い間違えたりするので、ある年参拝したとき、老いた宮司が通り過ぎるのを呼びとめて、尋ねましたところ、「実方は、上賀茂神社の境内を流れる御手洗川に影が写る所というので、橋本社(はしもとしゃ)でしょうか、やはり川の水が近いのでそう思います。吉水和尚が、”月をめで花をながめしいにしへのやさしき人はここにありはら” と詠まれていますので、岩本社(いわもとしゃ)と承けたまわっておりますが、私らよりは、貴殿のほうがよくご存知ではありませんか」と、非常に丁寧に言っていたのは、立派な態度だと思った。今出川院近衛といって、和歌集などに沢山選出された人は、若かりける時、常に百首の歌を詠みて、例の二つの社の御前の水でもって書いて手向けられた、誠に立派な誉があり、人の口にのぼる歌が多い、作文し、序など、見事に書きこなす人である。
※上加茂神社など言ったこともないので、岩本とか橋本とか書かれても分からないし、業平とか実方と呼び捨てにして表現されましても、なんのことかわかりませんでした。現代のネットは便利なものでして、分からないことがあれば、なんでも教えてくれます。神社にはいろいろな神社が併存していて岩本社は在原業平が祭ってあるようで、橋本社は藤原実方が祭っているのである。どちらも百人一種に載っている名歌があります。来年は京都へ行ってその場所を見てきたいなと思っています。京都は名所、旧跡が多すぎるので、吉田兼好先生の書かれたことに絞って探索すれば、連れも一緒に行きたいと申しております。
※2 R4年4月18日、上賀茂神社に行きました。本殿向かって左が「橋本社」で1m幅の小川の側に建っている。流れの先は小さな小川と合流する。その小川の先に岩があり小さな社が載っている。これが「岩本社」だという。在原業平が短歌を詠んだとは書いていなくて、紫式部がここで短歌を作ったという掲示はあった。この小川のほとりで上から短歌をつくり流れに乗せ、下で誰かが受け取り下の句を作るという行事が行われていたと表示されていた。曲水の宴というのが太宰府で行われるが、上賀茂が本家なのだろう。兼好先生は一介の見物人だったようで、特に吉田兼好の遺跡などはないと神職は言う。
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