第39話 日野資朝の逸話 154不具者

文字数 498文字

□資朝卿が、東寺の門に雨宿りされていたところ、かたわ者どもの集まりがあった。手も足もねじゆがみ、反り返って、どこも不具で異様なのを見て、それぞれ類がない曲者である。最も愛すべき者たちであると思い、凝視していた。やがて興味が無くなってしまい、醜く不快に感じだし、真っ直ぐ珍しくもない物には勝てないだろうと思い、帰宅した。このところ、植木を好み。異様に曲折あるものを求めて、目を喜ばせていた。これはかたわ者を愛しているのだと思うと興ざめになり、鉢に植えた木ども、皆掘り捨てられたという。さもありぬべきことなり。
※突然雨が降り出し、不具者が出かけており、雨宿りしていた。そこへ資朝卿もたまたま雨宿り。異様な集団である。曲者だが最も愛すべき者たちだと感じ、じっと見つめて観察した。最初は良いと思ったが、次第に醜く感じ出した。家で曲がり松などの盆栽を集め、趣味にしていた。なにかさっきの雨宿り集団をみて、興ざめとなり、鉢を全部捨てた。真っすぐな方がいいと感じたから。自分が不具者になった場合、卑下されるのは辛いことだ。赦す心が人には必要である。人を赦し、自分も赦す。平安の心は赦しから始まるという。
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