第120話 昔懐かし、世も末 徒然草23

文字数 588文字

□おとろえたる末は世とはいえど、なお宮中の神々しい有様こそ、世間ずれせず素晴らしいものなれ。露台・朝餉・何殿・何門などは、ひどく立派に聞こえるのだ、身分の低い所にもあるはずの小蔀・小板敷・高遣戸なども、立派に聞こえる。「陣に夜の設けせよ」と言うこそ厳かである。夜の御殿をば、「火をともせ、早よう」など言う、まためでたし。上卿の、陣にて事行う様子はさらなり、諸司の下人どもの、したり顔に馴れたるも、をかし。非常に寒い夜もすがら、ここかしこに眠り居たるこそをかしけれ。「内侍所の御鈴の音は、めでたく優なるものなり」とぞ、徳大寺太政大臣は仰せられける。
※格式ある家や部屋のつくり、仕来りもあり、厳かに宮中では物事が進んでいたのでしょう。庶民の雨戸や格子戸なども、古い名前だと、なにか良さそうに見える。言葉についても今のような平等な言語ではなく、上から目線の命令が多かったのだろう。上の人は心地よく懐かしく古い言葉を楽しんだのだろう。庶民は何を考え生活していたのだろうか。夜勤で眠りこけたのを、鈴の音で起こしたのだろうか。夜勤して家へ帰って、寝るなんていうのは無いのだろうね。労働基準法などは最近のことだから。今と700年前は比較できないだろう。それはそれで受け入れられた時代だったのでしょう。古い物が良さそうに見えるのは、昔の話しなった。今や、何でも新しい物が最高になっている。
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